無痛分娩が驚くほど無痛で、出産の恐怖がかなり和らいだ話。

こんにちは。
先日、初めて出産を経験しましたぶきっちょです。

妊娠が発覚してから、ずっと恐怖でしかなかった「出産」という一大イベント。

子供が生まれるのは嬉しいけれど、その前に必ず通らなければならない命懸けの戦いが怖くて不安で堪らなかった。

経験者にどうだったか聞くと、口を揃えて「人生で一番痛い」「言葉にならないほどの痛み」「痛すぎて超叫んだ」といった言葉が返ってくる。

・・・なにそれ怖すぎる。。。

というわけで、今回は痛みが怖すぎて「無痛分娩」というものを選択した私の出産体験をまとめてみる。

無痛分娩とは?

赤ちゃんが産道を通って生まれる経膣分娩の中でも、分娩方法は大きく分けて自然分娩・計画分娩・無痛分娩の3種類がある。

自然分娩はその名の通り、自然に陣痛が来るまで待ち、子宮収縮剤や鉗子など医療機器を使わずに自然な流れで進む分娩のこと。

計画分娩は、日にちを決めた上で人工的に分娩を誘発させて行う分娩法。

そして無痛分娩は、麻酔を使って分娩時の痛みを和らげる分娩法だ。

自然分娩にする気満々だった当初

妊娠発覚当初から、痛みを軽減してもらえる無痛分娩というのがあるのは知っていた。しかし、色々と調べてみた結果、麻酔をすることによるリスク(合併症等)が多少なりともあり不安が勝ったため、自然分娩でいくつもりだった。

分娩予約をしたのは大きな病院で、無痛分娩の実績がかなり多く設備も体制も整っていものの、自分の不安が少ないほうにしよう、と考えていた。

前駆陣痛で打ちのめされ、無痛分娩に気持ちが傾く

出産予定日まで残すところ2週間程度となった頃、夜中に突然感じたことのない痛みが腰と左腹部を襲った。何かすごい悪いものでも食べたか?と疑ってしまう感じの痛み。そして数分〜数十分間隔で痛くなったり治ったりを繰り返し始めた。痛みに襲われている時は、ひたすら「え、痛い、いたた・・」と痛がることしかできないくらいの強さ。

「これはもしや陣痛・・?」

ダウンロードしていたアプリで陣痛カウントをしつつ、しばらく様子をみてから朝方病院に電話をかけた。

状況を説明すると、

「うーん・・陣痛にしてはまだ間隔が不規則なので、もう少し様子をみましょう。前駆陣痛のような気もします。朝の7時になっても治らなかったり、痛みが強くなるようでしたらまたすぐに電話をしてください」

とのこと。

前駆陣痛というのは、不規則に起きるお腹の張りのことで、出産へ向けて体が準備をしているために起こるものらしい。本陣痛との違いは間隔が不規則であることと、痛みがやがてなくなるということ。

結局この痛みは前駆陣痛だったらしく、朝の7時になった時にはすっかり寝落ちしていたが、夜中から朝方まで6時間ほど苦しめられた。不規則とはいえ1時間に何度も襲いかかる痛みに、その間は眠ることもできないし、「何の修行だこれは」と思うほど辛い時間だった。

前駆陣痛でこれほど苦しいのに、本陣痛ではどうなってしまうのだろう。。

恐怖を感じ、「無痛分娩、アリかもしれないな」と初めて思った。

来たる本陣痛。「あ、これは無理だ」

いよいよ予定日が数日後に迫ったある明け方頃。それはやってきた。

うーんお腹痛いな。前駆陣痛か?本陣痛か?わからないけど、とりあえずカウントしておこう。

そう思って何度かカウントしてみたところ、すでに10分間隔を切っていたので病院に電話。痛みはまだ我慢できるくらいだったのでそれを伝えると、「朝一で病院に来てください。もし痛みが強くなるようでしたらすぐに連絡をください」とのことだった。

一度前駆陣痛を経験し、陣痛発生→病院へ向かう、という流れのシミュレーションができていたためか、比較的冷静に行動できたと思う。

が、問題はその電話の後。

痛みはまだ我慢できるくらい、と答えて1時間ほど経った時だった。

・・・うむ、結構痛い。いや、かなり痛い。

Youtubeで見つけた「陣痛の痛みの和らげ方」みたいな動画の通りの体勢になってみたが、それでも耐えられないくらいの強さになってきた。

夫に呼んでもらった陣痛タクシーが来るまでまだあと小一時間ある。

え、何これキツイ。これがさらに強くなっていくの・・・?ひいいい。

と思いながら、ひとりゼイゼイハアハア言いながら痛みに耐える。

痛みの波が来ている時は喋ることもできないほどだが、痛みがなくなる数分間は自由に動けるという状態。痛みがなくなっているうちに急いで着替えたり、お手洗いに行ったりなどして過ごした。

数十分後、陣痛タクシーに乗り込んで病院に着く頃には泣きたいくらいの痛みに。夫にひたすら腰をさすってもらっていた。そして、

あ、これは無理だ。早く無痛にしてもらおう。

なんの迷いもなくそう思ったのだった。

*分娩先の病院では、無痛分娩の同意書を記入して入院時に提出すると、痛みが我慢できなくなった場合は、依頼をして無痛分娩に切り替えることができるという柔軟な体制が敷かれていた。

無痛選択後、注入された麻酔が有能すぎて感動

病院に着いてからも、陣痛の間隔をチェックされたり分娩室へ移動したり着替えたり入院の説明を受けたりするなどで1時間以上痛みに耐える羽目となった。悶絶する、という表現がぴったりだと思う(気絶はしなかったが)。

コロナ感染対策で立ち会いが禁止のため、入院病棟に移るタイミングで夫とは別行動に。

「早く無痛に、無痛にしてください・・・!」と病院到着時から懇願していたため、分娩台に上がってしばらくしたところで、ようやく看護師さんから「先生の許可が降りたので、今から無痛の処置をして行きますからね」とのお言葉が。

それから麻酔科の先生がやってきて処置をしてくれた。うろ覚えだが、腰の辺りから細いチューブを入れて、そこから麻酔が体内に入っていくようにする、という流れだ。少し痛かった気がするが、陣痛の痛みの前では何の脅威でもなかった。

やがて先生が「処置が終わりましたので、15分ほどすると麻酔が効いてくると思います」と言った。

その言葉通り、しばらくすると陣痛の痛みがかなり和らいできたこれまでの痛みをレベル10とすると、2くらい。「ちょっと痛いかなー?」と思うけど、そこまで気にする必要がないレベル。麻酔ってすごい・・・!

それからは小さいボタンを渡され、麻酔の効果が薄まって痛みが強くなった時に押すように言われた。そのボタンを押すことで、麻酔が腰に入れたチューブを通って追加投入されるようになっているらしい。そして押しすぎても大丈夫なように、自動的にブレーキもかかるようになっているらしい。なんかすごい・・・!

そんなこんなで、「少し痛いかな?」くらいの状態で出産までを過ごすことになった。

出産直前まで夫とLINEで雑談。そして・・・

分娩台に乗って麻酔の処置をしてから、3時間、4時間、5時間・・・と時は淡々と過ぎていく。

時折先生や助産師さんが様子を見にきてくれるものの、基本1人で寝ている状態である。無痛でなかったら今頃悶え苦しんでいるのだろうが、無痛のため本当にただひとりでぼーっとしているだけの状態。

ちゃんといきんで産むことができるだろうかとか、このまま安全に産めるだろうかとか、不安な気持ちはもちろんあるものの、ひたすら待つしかないわけだ。

正直、暇を持て余していた。

産む体力を温存しておくためにちょっと寝たりもしたが、やがて目が覚めてしまった。

結局それ以上寝るのは諦め、夫にLINEで状況を伝えつつ、他愛もない雑談をし続けていた。

そして分娩台に乗ってから8時間(!)ほど経った時、助産師さんから「そろそろいきみましょうか!」という合図が。

ついに来た・・・!と覚悟を決めスマホを置き、指示通りに頑張っていきんでみる。

助産師さん「いきむの上手ですね!初産とは思えないですよ!いいですよー!」

となんかすごい褒められ、「えへへ、そうですか?(照)」とか答えた記憶がある。

先生「ちょっと赤ちゃん出づらそうなので、切りますね〜」

私「あ、はい」

分娩時にお股を切ることがある(というか初産だと大体切られる)、というのは知っていたので、「あ、やっぱり切るのか」という気持ちで切られていた。こちらも痛みはない。

そのまま何回かいきんだところで・・・

先生「はい、いきむのやめて!・・・・・・ほら、元気な赤ちゃんですよ!」

そう言われて顔を下に向けると、ギャン泣きの赤ちゃんが突如現れていた。

しつこいが、ここまで痛みは全然なかった。

痛みはないが、この瞬間は安堵感やら何やらいろんな感情に襲われて泣きそうになった(なんでか耐えた)。

約10ヶ月もお腹の中にいて一緒に生活をしてきて、ついに目の前に出てきた赤ん坊。

これが・・・お腹の中にいた?これが・・・息子・・・!

この時はまだ全然実感がなくて、「この子が本当にお腹の中に・・・?凄くね・・・?私の中で人間が・・・?」みたいな状態だった。

先生「お股縫いますね〜」

私「あ、はい」

引き続き痛みを全く感じない中お股を縫われ、夫にビデオ通話で出産報告をし、遅めの夜ご飯を食べ、この日は無事に終えることとなった。

まとめ

出産に伴う痛みへの恐怖感が大きかった私にとって、今回無痛分娩という選択ができたことは大変ありがたかった。痛みが和らいだからといって命懸けであることには変わりないが、精神的に落ち着いて出産まで臨むことができて良かったと思う。