「もうダメだ。何もやる気になれない…」
「誰とも会いたくない、辛い…」
こんな風に気分が落ち込んで、何もしたくなくなることはないだろうか。
私は何もなくても月に2,3回はあるし、嫌なことがあったときは尚更だ。
気分が沈むと外に出る気にもなれず、部屋で漫画を読んだりするのだが、大体いつも同じ作品を読んで、元気をもらっていることに気が付いた。
というわけで今回は、落ち込んだ時に元気をくれる漫画を紹介したい。
目次
笑いと感動で、懐かしさとやる気をもたらす:のだめカンタービレ
ストーリー
だらしないし部屋も汚いが、ピアノでは綺麗な音色を引き出せる音大生の野田恵(のだめ)と、同じピアノ科で指揮者を目指す千秋真一、その他クラシックに魅せられた人々の葛藤と成長を描く青春ラブコメディ。全25巻。
ここがポイント!
山登りは、苦しければ苦しかっただけ感動も大きい。
この感覚を、ふっと思い出させてくれる作品。
無気力なときに無理やり何かをしようとすると、とてもできない。
でも、「そういえばあの時、嬉しかったな」と達成した時の喜びが思い出せると、不思議と自然にやる気が湧いてくるものだ。
3つの名言
「この曲、千秋は完璧に勉強してあった。シュトレーゼマンが急病じゃなかったら、千秋に振る機会なんかなかったはずなのに あいつはスゴイ奴だけど、いつもそれなりの努力(こと)はやってんだ!」
世界的に有名な指揮者・シュトレーゼマンに、予告なくいきなり指揮を丸投げされた千秋。
その千秋が怯むことなく、しっかりとその役目を果たしたのを見て、バイオリニストの峰が漏らすセリフ。
なんでも楽々こなしているように見える千秋の、隠れた努力が垣間見える場面だ。
「僕は恵ちゃんのようにはなれないけれど 少し真似してみるのもいいかもしれない 人との壁をもう作りたくないから――」
パリに留学したものの、うまく人と付き合えず苦しむオーボエ奏者の黒木。
一方、のだめは誰とでもすぐ仲良くなり、楽しそうに過ごしている。
それをただ羨んでいるだけだった黒木が、初めて自分から人とかかわろうと動いてみる場面。
踏み出されたのは小さな一歩でも、それは大きな変化につながる可能性を秘めているものだ。
「他人(ひと)の世界を、うらやんでいても仕方ない。自分の世界は、自分で変えなければ―――」
海外留学をして着実に成功への道を歩む同級生の姿に嫉妬し、自暴自棄になっていた千秋。
そんな中のだめ達とかかわることになり、目の前のことに全力で取り組もうと決意する場面。
周りの他人と比べて焦ってヤケになるのは簡単だけど、何にもならない。
自分が今できることを全力でやっていくことが重要で、何かに繋がる。
現実逃避ならこれ!ガン・アクションですっきり爽快:ブラックラグーン
ストーリー
どんな荒事でも引き受ける運び屋「ラグーン商会」を中心とした、ロアナプラという架空の犯罪都市が舞台のアクション漫画。
1巻では、ひょんなことからラグーン商会に拉致されてしまった、ごく普通の日本人サラリーマン・岡島緑郎(ロック)が、2挺拳銃を操るヒロイン・レヴィに誘われて仲間入りを果たす。
ここがポイント!
運び屋という設定や個性的なキャラが魅力的なのはもちろん、とにかくセリフがカッコ良い。
もう出てくる人みんなが、カッコ良いセリフ吐きまくり。
中学生のときに読んでたら、丸暗記して暗唱して、黒歴史を積み上げていたこと間違いなしの問題作。
3つの名言
「‟死に急ぐ”だって?大変な勘違いさ、あたしたちは――歩く死人なんだぜ」
手練れの強い相手と戦えることに喜びを抑えられないレヴィが、「そんなに死に急いで、何の得があるんだ?」とロックに問いかけられて、返答する場面。
生きることに執着しない、という強さ。
カッコ良すぎて、このシーンのある5巻ばっかり何回も読んでる。
「あせるなよ、2挺拳銃(トゥーハンド)。こういうのはな、ビビったら負けだ」
銃撃戦の最中、目の前に落ちてきたのが手榴弾だとわかり一瞬焦るレヴィに対し、香港マフィアの張(チャン)が落ち着いた様子で、平然と手榴弾を蹴り上げる場面。
ブラックラグーンでは珍しい、強い男キャラ。張さんみたいな兄欲しい。
「過去も故郷も、国も資格も――綺麗さっぱり奪われた、かつてのあなたと同じようにね。でも――生きてる私だけは、確かにここにいる。死に方を、そして――生き方を、私だけが、選んで決められる。最高じゃない」
中国人民解放軍の士官であるフォンは、スパイの任務中に罠に嵌められ、忠誠の限りを尽くしていた組織に見捨てられるばかりか、命を狙われる事態になってしまう。
すべてを失い絶望と焦燥でいっぱいだったフォンが、やがて覚悟を決めたように笑顔でロックに話す場面。
信じていたものに裏切られ、人生を捧げていたものにあっさりと切り捨てられ、それでもその先にある、確かな自由を見つけた彼女。
なんかもう、カッコ良すぎて辛い。
人間とは?生きるとは?地球単位に視野が広がる:寄生獣
ストーリー
ある日突然、空から謎の生物が降ってくる。
それらは人間に寄生して脳まで乗っ取り、他の人間を食べて生きる寄生生物だった。
主人公の新一は、間一髪のところで完全に寄生されるのを免れたものの、右手を乗っ取られてしまう。
その日から新一と、その右手を自由に操る寄生獣・ミギーの切なく悲しい戦いの日々が始まる。全10巻。
ここがポイント!
人間に寄生し、他の人間を捕食する寄生獣。人間以外のたくさんの生物を捕食し生き延びる人間。
人間にとっての害は間違いなく寄生獣だが、全生物にとっての害は・・・?と考えさせられる。
日常の悩みから離れ、大きな視点で自分という存在を見つめ直すことができる作品。
決して明るいストーリーではないが、登場人物たちのセリフに元気づけられるところも多くある。
3つの名言
「わたしの『仲間』たちはただ食ってるだけだろう・・・。生物なら当然の行為じゃないか。シンイチにとっては同種が食われるのがそんなにイヤなことなのか?」
寄生生物に食べられてしまう被害者が後を絶たず、「なんとかしなければ」と焦る新一に向けて、ミギーが冷静に言うセリフ。
人間の常識やルールは、人間の常識とルールでしかない。
「なんだ・・・ほとんど可能性ゼロに近いじゃないか!・・・でもやらなけりゃ・・・確実な0だ!!」
寄生獣との戦いで絶望的な状況に追い込まれた新一が、奇策を思いつくが、ほとんど勝算がないことに気づく場面。
勝てる見込みがほとんどない中で、「やらないよりは可能性がある」と感じられる冷静さと覚悟。欲しい。
「他の生き物を守るのは人間自身が寂しいからだ。環境を守るのは人間自身が滅びたくないから。人間の心には人間個人の満足があるだけなんだ。」
人間と寄生獣の狭間で、生き残るための戦いをくり返し変化していった自分の考えを、新一が心の中で振り返り、まとめる場面。
この後、「それでいいしそれがすべてだと思う」というセリフが続く。
建て前や思い上がりを取り除いてしまえば、残った事実は至ってシンプルかもしれない。
生き様がカッコ良すぎて震える:賭ケグルイ
ストーリー
巨額の資金がうごめく私立百花王学園を舞台に繰り広げられる、スリル溢れるギャンブル・バトル漫画。
ギャンブルの強さが生徒の階級を決め、生徒会が絶対の力を持つ学園に転校してきたヒロイン・蛇喰夢子。
無垢で大人しそうな夢子を陥れようと、色々な生徒がギャンブル試合を申し出るが、夢子こそが生粋のギャンブル狂・賭ケグルイだった。
ここがポイント!
賭ケグルイといえば、登場人物たちが本性を現した時に見せる顔芸で有名だが、ギャンブルに自分を賭けるキャラクター達の生き様も見どころだ。
私はやる気が出なさ過ぎて会社を早退し、本屋に寄った時に賭ケグルイに出会った。
読んでいる間はニヤニヤ、読み終わる頃にはなんだか晴れやかな気持ちになれる作品。
3つの名言
「無能として安寧を取るか 破滅を賭けて頂点を目指すのか 決めるのは貴方です」
生徒会役員とポーカーで対戦することになった夢子が、元生徒会役員の皇(すめらぎ)に自分のパトロンになるよう誘う場面。
夢子の誘いを断れば、再び生徒会に戻って安定した地位が築ける。自分の意志とプライドを守って夢子につけば、負けた場合は即破滅。悩む皇に、微笑みながら夢子が言うセリフ。
ここまで極端でなくても、人生の選択肢として「安定を取るか、夢とリスクを取るか」を選ばなければならない状況は決して珍しくない。
だからこそ、皇の迷う様子や決断を下した時の晴れやかな表情に心が動かされる。
「この手に賭けられないようであれば…その程度の覚悟ならば 確かに頂点を目指すのは諦めたほうがいいでしょうね。」
ポーカー対決の終盤戦。資金が尽きてしまった皇が、このまま負けるか、自分の人生を換金して賭けを続けるか、という究極の選択を迫られる場面。
人生を賭けて負けたら、経済的な破滅だけでなく身体的な自由をも失うこととなる。
さすがに震える皇に、そっと手札を見せて夢子が言ったセリフ。
ポーカーは、自分の手札しか見えない。相手の手が自分より強いのか弱いのか、推測はできても確信はできない。
戦うと決めた時には、自分の手札を信じてベットするのみ。
人生も一緒で、自分の持っている運や力を信じられないままでは、降りてばかりになってしまう。
「何も分からないまま 生き永らえるくらいなら 全てを知って死んでしまいたいではありませんか」
生徒会書記と、謎の塔でギャンブル対決をすることになった夢子。
5階から1階までを早く往復した方が勝ちというゲームの中で、最短距離を進まずに塔の謎を解明しようとする夢子が、その理由を話す場面。
「全てを知って死んでしまいたい」とはまた極端な話だが、自分が住んでいる世界のこと、色んな制度、裏で起きていること、そういったことについて何もわからないまま、のうのうと生きていくのは怖いし嫌だなと思う。
シュールな笑いでネガティブ思考が吹き飛ぶ:ピューと吹く!ジャガー
ストーリー
笛吹き男・ジャガーさんと、ギタリスト志望のピヨ彦、忍者のハマーさんとその他濃すぎるキャラたちが、とにかく色々とくだらないことを繰り広げるギャグ漫画。
シュールさ満開。全20巻。
ここがポイント!
読むたびに、「ああ私、まだいけそうだわ」と思える。
3つの名言
「宇宙の歴史から見ればほんの一瞬じゃないか 今回たまたま運の無い人生だっただけさ」
ジャガーさんがピヨ彦を励まそうとする場面。
視野広すぎだろ。はい。
「あれ僕のシャツだ・・・」
相撲を取ろうと張り切っているジャガーさんのまわしが、自分のシャツであることに気づいたピヨ彦のセリフ。
はい。
「どうしてもジャンクフードを食べたい時はガマンせず食べた方が体の為なのだ だってストレスによる神経性の体調不良を起こす事を考えたらはるかに健康的だろうが」
強靭な肉体と精神を養うため過酷なトレーニングに励もうとするハマーが、時間が経つにつれてだんだん騙し騙し過ごすようになっていく場面。
自分を正当化していく感じがあるあるすぎて何も言えない。
私は前世ハマーで、来世もハマーなのではないかと思う。現世はニアミス。はい。
まとめ
元気が出る漫画を5つ挙げてみたが、今後もどんどん発掘していければと思っている。
落ち込んだ時にこの中でピンとくるものがあったら、ぜひ読んでHPを回復して欲しい。